マーケターに聞いてみよう!
Vol.4_アクティブ合同会社 藤原 尚也さん

マーケターとして活躍されているみなさまに、ご自身の経歴やマーケティングに携わることになったきっかけ、お仕事をするうえで大切にしていることなどを語っていただく『インタビュー企画』。

第4回目は、様々な企業のマーケティングを”内”から支援する会社、アクティブ合同会社の藤原さんにお話を伺っていきます。


藤原 尚也さん
アクティブ合同会社
CEO

1974年大阪府吹田市生まれ。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に新卒で入社。
その後、外資系化粧品企業のデジタルマーケティング部シニアマネージャーを経て、現職のアクティブ合同会社(マーケティング支援事業)を起業し独立。新会社では、化粧品、アパレル企業などのマーケティングのサポートを行う。


自らチャンスを掴み、そこを足掛かりにチャレンジを続けて積み上げたキャリア

ーまずはご自身のご経歴を教えてください。

キャリアのスタートは1996年に新卒で入社したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)でした。最初は店舗スタッフからスタートして、レンタルやCD販売、ゲームや書籍、チケットぴあの販売などを2年ほど経験しました。
その後、ディレクTVのJリーグと格闘技の担当として本社勤務になりました。
当時はCS衛星放送の大手2社の戦いがあって、CCCはディレクTVの株主だったので関わることができるチャンスがあったんです。そこで、自分の好きなスポーツとか格闘技に関わる仕事をしたいなと、自分で企画書を作って売り込みました(笑)。そこからはテレビの仕事に携わり、Jリーグと格闘技の番組の担当をしました。いろんなスタジアムに行ったり、ADのような細かい作業もこなしながら過ごしていたんですが、残念ながらディレクTVからCCCは撤退となり、改めてCCC本社に戻ってきたんです。その時期がちょうどiモードが始まるタイミングで、そこからはiモードを軸にしたオンラインサービスの開拓に関わることになりました。

1999年頃、TSUTAYAオンラインのEコマース事業、まさにECのサービス立ち上げをしたんですよね。そこから一気にモバイルのバブル期に入ったこともあり、着メロや着うた、占い系の事業など全部で60サイトくらい手掛けました。
そうしていると、デジタルの領域でもっとグループとしてのシナジーを発揮していきたいという経営方針もあり、その事業を手掛ける準備室的な組織に配属されることになりました。そこで一番大きかったのは、データベースを使ったマーケティング事業の立ち上げです。具体的には、Tカードの顧客データベースとTポイントの購買履歴データを連携させたマーケティング施策などですね。そこから7,8年ほどはその立ち上げに関わっていました。

しばらくすると、自分でもまた新たなチャレンジをしたいな、将来的に英語を使って仕事ができるようになりたいという想いが強くなってきて、これまで全く経験の無い、外資(アメリカ資本)の化粧品会社に転職しました。
アメリカはやはりマーケティングの最先端の国ですので、その会社で4年ほど色々な経験をして、ダイレクトマーケティングの勉強を重ねました。そのうちセミナーなどに登壇する機会や相談を受ける機会も増えてきたので、思い切って独立して自身の経験をもっといろんな会社で活かしながら、自分自身ももっと成長していこうと考え、2016年にアクティブ合同会社を立ち上げ、今に至ります。

現場で培ったリアルなマーケティングの知見をアップデートして、クライアントへ還元


ー続いて、御社のサービス/藤原さんが関わっているサービスについて教えてください。

アクティブ合同会社では、大きく2つのサービスを展開しています。
まず1つ目は、いろんな会社のマーケティング業務を受託しその会社に常駐するというモデルです。普通はマーケティング業務の受託と言っても、定期的なmtgで振り返りをしたり常駐までは至らないのが殆どなので、珍しいやり方だと思います。
その会社に常駐して組織作りも全部任せてもらって、マーケティングひいては組織全体の改善をしています。事業に貢献したらまた別の会社、という風に3年くらいずつ関わっているイメージです。

関わり方も色々なパターンがあって、週に2,3日常駐してガッツリと組織から変えて人材育成もしていく方法や、もう少し軽く週に1回mtgをしてアドバイス中心にしていく場合もあります。一度に16社お受けしたこともありましたが、mtg準備や分析などで結局は打ち合わせ時間以外も業務をする必要があってかなりパンパンになってしまったので、現在では2社くらいまでにしています。
お受けする企業の業種も様々です。化粧品から健康食品、アパレルやBtoBまで、幅広くお受けしています。

もう1つのサービスは、自分がやりたい事業の立ち上げですね。
沖縄でスポーツアカデミーの事業を運営していて、現状は野球選手を対象にしています。今後はサッカーやバレーボール、テニス、バスケやアメフトなど他のスポーツにも横展開して、学校を展開したいです。また、海外にも拠点を作って、選手をスポーツ留学させて高度な技術に触れさせたり、逆に新しいスポーツやフィットネスグッズ・サービスを日本に取り入れる輸入関連業にも興味があります。
また、今年の夏にはお米のD2Cの事業を展開する予定で準備を進めています。実はもう5年ほどお米の栽培に携わっていまして、料亭等で出される幻の米を育てているんです。それをもっと一般の方にも食べてもらいたいなと、白米や玄米などお米の種類も複数用意しています。
やっぱり経験した領域でないと事業も実現できないなと思っていて、そのなかではお米を使ったスキンケア・化粧品もいつかは手掛けたいと計画していますよ。

ー御社のマーケティング活動における特徴はありますか?

これまでの仕事や登壇でお話したことを知ってくださっている方が多いので、先方からご相談頂いてタイミングが合えばお受けする、というスタイルですね。
なかなかタイミングが合うことばかりではないので、お断りすることもあります。

あとは、色んなパターンのご相談をお受けできることも特徴ではないでしょうか。
特に最近はECに注目されている企業が多いのでECを例にすると、企業側は、こういう施策が良さそうだけど、それをやったところでどこまで売上が上がるのかは経験した事がないからわからないし、いつまでその売上を継続させる事ができるのかもわからないという課題もある。そんなご相談に対して、僕自身が様々な経験をしたり、この事業を通して色んな企業の情報収集をして日々アップデートしているので、そういったお悩みにお答えできるんです。

施策のやり方ももちろんですが、もっと細かい所だと、この課題を解決するにはどの会社のどういうサービスを活用した方がいいのか?という課題も解決できます。更に常駐する、内側に入って一緒に作り上げていくというスタイルなので、社内の人と同じような感覚で正直なところどうですか?というスタンスで話せるのも良いんじゃないでしょうか。EC立ち上げには色んなサービスが存在しますが、例えば競合他社がAというサービスを使って成功していても、自社に必ずしもAが合うわけではないんです。それぞれの企業・サービスに合ったものを選定して使っていく必要がある。更に、それをすぐに相談してすぐに判断材料を集める事ができるということも存在価値として認めて頂いている点ではないでしょうか。

もう1点は、人材育成の部分でしょうか。
組織作りと合わせて人材育成もするので、いわゆる一般的なコンサルのように「期間が終わったらゼロになる」という訳ではないんです。僕と一緒に動いてもらうことで王道のパターンはもちろん、その会社・サービスならではの特徴や考え方のポイントを伝えていくことができる。現場の方のスキルを挙げていくことができるし、受託の期間が終わっても、マーケティングの基礎が社内にちゃんと築かれている訳です。
また、僕のネットワークも活用して色んな方をご紹介したりもしています。人脈って一から作るのはとても大変ですが、僕を通して色んな方と繋がってもらうことで、継続的な関係性を作ってもらえるんですよね。

お客様を見てサービスを突き詰める。そこからわかる”本当の価値”を見つけたい

ーご自身がマーケティングに関わる上で、大切にしていることは何ですか?
大きく2つあります。
まず1つ目は、「お客様をちゃんと見ましょう」ということです。
当たり前のことなんですが、ターゲットが定まっていない事が本当に多いんです。自分達は良い商品・サービスを提供しているのに、なかなか知られなくて売上が上がらない、とか。お店の売上が上がらない、ECの売上が上がらないと。でもその会話には、「それは誰にとって良い商品なのか」がわからないんです。要するに、社内の人は良い商品だと思っているんですが、それが「誰にとって良いもので、誰のどんな課題を解決するものなのか」という視点が無いんです。更に、社内の事業者視点で物事を話すので、説明も長々としてしまって端的ではない。普通のお客様はそんなものをわざわざ聞いてくれません。
サービスについて端的に語れるくらい、お客様にダイレクトに刺さるキーワードに厳選してそのポイントを突けるようになるというのはとても大切です。

もう1つは、「ちゃんとチームでやりましょう」という事です。
この”チーム”には、社内のメンバーだけでなく社外のパートナーも含みます。僕が関与する企業では、社外パートナーにも全ての会議に参加してもらっています。もちろん守秘義務契約は結びますが。ちゃんと関係者みんなで情報を共有して、素早くみんなの知見を融合して判断し、スピーディーに施策を回していくことがとても大切なんです。チームとしての取り組み方を根本的に変えることになるので、僕が関わったタイミングで会議体から作り直す事が多いです。現在の会議の名称や目的、参加者も全部リストにしてもらって、必要なものに集約し、より効率的なやり方に精度を上げていきます。
社内の会議と社外パートナーとの会議を別々に実施していることが多いと思いますが、情報共有にも施策検討にも、施策実施にもどうしても時間がかかってしまいます。特に最近のデジタルマーケティングの領域においては、スピードは命です。情報共有や会議の調整に時間を使っているなんて意味がないと思っています。また、社内の情報を共有することで、社外パートナーにとっても”大切なクライアントだ”と認識してもらえるので、先方の精鋭メンバーが担当についてくれる可能性が高くなるというのもあります(笑)。

ーご自身が目指すマーケティングの姿について教えてください

「お客様」と「商品」をシンプルに突き詰めて、その関係を一つに繋ぐということでしょうか。
マーケティングって、「売れないものを売れるように」したり「売れるものをもっと売れる」ようにしたり「誰かが発明したものを世の中に知ってもらう」ことだと考えています。これは、社内やお客様にとっての幸せや喜びを作るための仕組み作りなのかなと。
そういった仕組みが、事前に設定した仮説通りに動き、たくさんの笑顔が生まれたときがマーケティングに関わる人にとって最高な瞬間ですよね。

ただ、よく発生しているのが、社内で業務や作業が分断されてしまって、部署ごとにお客様に違うコミュニケーションをしてしまっている。
一方の部署ではディスカウントをして薄利多売でガンガン売っているにも関わらず、別部署ではブランディングに力を入れたいなど、全く逆のことをしてしまうケースって、割と頻繁にあるんです。
現場の方は自分のミッションに基づいて頑張っているんですが、傍から見ると、一体会社としては何がしたいの?って思いますよね。
だからこそ、商品・サービスとお客様の繋がりをシンプルに見て、目的を見極める必要があります。

確かに1回売れる・成功するとそれで満足してしまって、これを続ければ売れ続けるんだろうって思考が停止してしまいます。本当は継続的に売れ続けるには別の対策が必要だったりするんですが、過去の成功体験に依存してしまうんですよね。その依存からどう新しいチャレンジをするのか、飛び込む事ができる人とできない人で差が出るんだと思います。

なかなか依存から抜け出せない場合の対策としては、小さくてもいいので、新しい成功体験を重ねていく事が大切です。これまでやってこなかった施策をちょっとずつ試してみて、うまくいった、いかなかったという検証を重ねていく。うまくいけば一番いいですが、うまくいかなくてもいいんです。うまくいかないということがわかるのは一つの重要な一歩ですから!

ー読者のみなさまへの一言

「自分たちのサービスや商品が誰にとって本当に課題を解決できるもので、その人たちにどうやったら伝えられるんだろう」ということをシンプルに考えてみて欲しいです。
マーケティングって「商品やサービスを通してお客様を幸せにする/幸せにし続けること」だと思うんです。そのためには、最初にサービスとお客様について突き詰めて考えることがとても大切なんです。

よく、マーケティング初心者の方から「お勧めの本ありますか?」と質問頂く事があるんですが、本の前に自分達を徹底的に見て欲しいなと思います。本以外にも、インスタどうしようTwitterどうしようとか、小手先の手段に目がいきがちになってしまうんですが、前提としてもっとお客様を見て欲しいんです。
商品を愛してくれるお客様が分かれば、そのお客様がよく行く場所とかよく見る雑誌・テレビ・インターネットのサイトとか、わかってくると思うんですね。その次に、お客様がよく見るところをターゲットにして広告を出せばいいんです。

そして、なるべくシンプルに商品のUSP(※1)を見つけていく事ですね。
『ドミノ・ピザは30分で届く』とか『M&M’sのチョコレートは手で溶けません』とか、お客様に伝わりやすいUSPを見つけていくことが大切です。そしてお客様に、ちゃんとその商品を良いと感じて頂けたらそのポイントを展開していけばいいんです。そしてどんな手段で伝えたらいいのか?という情報が必要になったら、勉強のための本を読めばいいと思います。

※1 USP:​​Unique Selling Propositionの略。”商品やサービスが持っている独自の強み”を意味するマーケティング用語。

ー取材後記

今回は、多様なご経歴を持ちそのご経験と知見を元に様々な企業のマーケティング活動のご支援をされているアクティブ合同会社の藤原さんにインタビューさせて頂きました。
ご自身のご経験の豊富さから紡がれるマーケティング施策はもちろん、企業の内部に入り込んで現場のメンバーの方々と活動することで藤原さんのコピー/クローンを作り上げ、企業として、組織としての土台作りやステップアップまでを成し遂げるその事業は、ひいては日本全体のマーケティングレベルのアップにも繋がっているのではないでしょうか。
ご自身のご興味範囲から繋がる新規事業についても、引き続き注目ですね。


アクティブ合同会社
デジタルマーケティングコンサルタント事業を中心に、各社のマーケティング支援を行う。

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