マーケターに聞いてみよう!
Vol.20_awoo Japan株式会社 坂居 広行さん

マーケターとして活躍されているみなさまに、ご自身の経歴やマーケティングに携わることになったきっかけ、お仕事をするうえで大切にしていることなどを語っていただく『インタビュー企画』。

第20回目は、商品理解を通して回遊と購買を生み出すAIサジェストプラットフォーム「awoo AI」を提供するawoo Japanの坂居さんにお話を伺っていきます。


坂居 広行さん
awoo Japan株式会社
コンテンツマネージャー


キャリアのスタートはイベント運営。顧客に近い場所で幅広く関わっていけるマーケティングがしたい!

ーまずはご自身のご経歴を教えてください。

最初にイベントの制作・運営をしている会社に入社し、大型の展示会や企業のプライベートショー、外国の大使館が主催する文化フェスティバルの企画・運営をしていました。東京ビッグサイトの大型展示会や代々木公園などで開催されるイベントをイメージして頂けると良いかと思います。

その後、株式会社マイナビに転職しました。そこでは、マイナビ就職EXPOをはじめとする新卒向けの合同説明会の企画・運営に関わり、年間30本ほどのイベントを開催して、学生へのDMの送付、大学生協へのプロモーションなども担当していました。
これこそがまさにマーケティングの取り組みなのですが、もっとマーケティングを深めていきたい、そして学生以外を対象にしたイベントもやってみたいと考えるようになり、2度目の転職をしました。

その後、エクスペリアンジャパン(現 チーターデジタル)というBtoCマーケティングの支援会社に入社しました。
主に外資系の商品を扱っており、自身はBtoBマーケティングを担当する中で、BtoC向けのメール配信ツールとマーケティングオートメーションツールの提供を行っていました。日々勉強しながらBtoBとBtoCのマーケティングに関わっていくのは、刺激的で楽しかったですね。

全体的なマーケティングも担当していましたが、改めて専門領域を極めてみたいなと考えるようになり、株式会社マネーフォワードでイベント担当をしました。ただ、専門領域だけやっていると、その周辺の事柄も気になってきてしまって。改めて幅を広げたマーケティングに関わりたいなと考え、awoo Japanに転職し、今に至ります。
awoo Japanに転職するときは、「大きな会社で細分化された業務」よりも 「幅広く企画段階から運営・実行まで関われるようなマーケティングをしたい」という想いがありました。

ー続いて、御社のサービス/坂居さんが関わっているサービスについて教えてください。

「awoo AI」という、ECサイト内の商品特徴を理解し、自動で適切なハッシュタグを生成し最適化するサービスを提供しています。

ハッシュタグはSNS運用において頻繁に活用されていますが、ECでも有効に働いています。例えば、適切なハッシュタグを付与すると、サイト内での回遊が増えたり、コンバージョンがアップするという結果が出ています。そのハッシュタグをより効率的に生成できる自動生成・自動最適化の技術を提供しています。

マーケティングの部隊は僕ともう1名の2名で運用しています。お客様にインタビューをして事例コンテンツを作ったり、プレスリリースを書いたり、クライアントにご出演頂くウェビナーを開催したりしています。また、直近はawoo AIの活用方法をご紹介する動画コンテンツを制作するといった活動もしています。テキストや製品資料もご用意しているのですが、やはりECサイト内でのハッシュタグの挙動を見て頂いた方が分かりやすいですよね。ショート動画のスタイルでいくつか制作していますが、短い尺で分かりやすく伝えるのは結構難易度が高く、日々試行錯誤しながら制作を進めています。
そして、市場全体の認知・知名度を上げていくための活動として、知見のあるマーケターの方々をお呼びしたウェビナーも開催しています。ハッシュタグの可能性と言いますか、業界最前線のお話を伺い、発信することで、市場成長の一端にawoo Japanがいられたらなと考えています。

スモールチームだからこそ影響しあえる。自由な環境だからこそ、最大限の力を出せる働き方で

御社のマーケティング活動における特徴はありますか?

2つあると思います。

まず1つ目は、チームがコンパクトである分、決定がものすごく早いことです。
awoo Japanのメンバーはまだ10名くらいの超スモールチームなので、みんなが担当領域を持ちつつ互いに影響し合いながら仕事をしています。
例えば、「クライアントさんからこういう良い評価をもらった」という話があれば取材に伺わせて頂いてそのままコンテンツにしたり、相談やMTGの中で生まれたアイデアをすぐに反映していくというようなスタートアップらしいスピード感がありますね。

もう1つは、コンテンツ制作において外注をできる限り減らしている点です。awoo TV(awoo JaoanのYouTubeチャンネル)についても今では全部私が企画・撮影・編集までを担当しています。内製化することでクオリティの統一化もできますし、スピードも担保できます。外注が悪い訳ではないですが、原稿執筆から確認、素材のやり取りを含めると結構時間がかかってしまうなという印象があるので、いかに社内のリソースだけで一定のクオリティを担保できるかどうかがポイントだと思っています。

awoo Japan自体の体制の特徴としては、働き方や環境の自由が多いことです。
awoo自体は台湾の会社で、日本事務所は渋谷に置いていますが、awoo Japanに所属している半分くらいのメンバーが台湾にいるという珍しい組織構成になっています。例えば、カスタマーサクセスのメンバーはほとんど台湾にいたりとか、働き方とか雇用形態も縛りは少ないと思います。台湾から日本のお客様をフォローする場合でも、時差が1時間なので特に問題にはならないですね。

そういった環境でもう一つ特徴的なのは、”全員営業”というスタイルです。
お客様からのお問合せが立て込んだ場合、営業メンバーもリソースが限られていますので、私も含めた他部署のメンバーがお客様対応をすることもあります。まさに、全員が営業として活躍できるレベルのご案内ができる状態になっています。
いわゆる「THE MODEL」の分業型組織とは真逆ですが、今のスモールな組織だからこそこのスタイルがフィットしているのだと思います。
事業が成長している状況を続けられれば、それに伴ってメンバーも組織も拡大していきます。そのタイミングでは、もちろんルールを作ったり分業化していく必要はあると考えていますが、現段階だとこのスタイルが一番うまく回っているかなと感じています。

ご自身がマーケティングに関わる上で、大切にしていることは何ですか?

『わかり辛いことを、わかりやすく表現する』ということでしょうか。

例えば、マーケティングをしているとどうしても日本語に変換しにくいワードは、カタカナ表記になってしまいがちです。カタカナ表記だとある程度は「こんな意味だろうな」とイメージして頂くことはできても、頭に入ってこないというか、印象が薄くなってしまいます。ですので、できるだけわかりやすい・頭に入ってきやすい言葉に言い換えるようにしています。

今でも、文章を書く時には、いかに短く・端的な言葉で表現するのか。ウェビナーでは、60分間のコンテンツを45分に短縮しシンプルにするにはどうしたらいいかをかなり意識して取り組んでいます。

また、お客様が知りたいことを中心に発信した方が興味を持って頂けるので、お客様の声や有識者の方からのアドバイスなど、コンテンツの入り方には注意を払っています。知りたいことをフックにコンテンツをご覧頂いたほうが、わかりやすく腑に落ちます。そのタイミングで、少しだけawoo Japanのことを知って頂ければ、まずはそれでもいいかなと考えています。

先ほどもコンテンツ制作を内製化しているというお話をしましたが、より”わかりやすく表現する”という編集者側の意図を強く打ち出すためにも、やはり内製化でクオリティを追求していくことは大切にしたいですね。

顧客と深く繋がるための『ロイヤルティ・マーケティング』、そして業界内でも繋がりを強化するためのコミュニティ運営も狙う!

ご自身が目指すマーケティングの姿について教えてください。

まず1つは、『BtoBの領域でロイヤルティ・マーケティング※を追求してみたい』と考えています。

前職でロイヤルティ・マーケティングの研修をしていたことがあり、BtoCのブランドと消費者を繋ぐ、さまざまな取り組み事例に触れてきました。それをBtoBの業界でも再現できないかなと。

では、BtoBでロイヤルティ・マーケティングをするとなると何が必要なのか。そこはやっぱりコンテンツだと思っています。繰り返し見て頂く、好きになって頂くためのコンテンツの中身の設計や、コンテンツとの接点の作り方は今後も究めていきたいですね。
その中で今ようやく少しずつ始めたのが、先ほども触れた「動画」です。例えば、YouTubeでもBtoCとBtoBの打ち出し方は違いますよね。演出方法や編集方法、それぞれに特徴があって、それを抽出して検証しながらより良いクリエイティブを作っていきたいです。

もう1つは、コミュニティを主催していきたいです。

お客様同士の繋がりや業界内での繋がりの大切さは、このコロナ禍で改めて再認識された方も多いのではないでしょうか。この横の繋がりを、私たちのようなベンダーが主軸になって展開できたらなと。東京でももちろんですが、比較的コミュニティが少ないと言われている関西や、本社のある台湾と日本のネットワーキングなんかも面白いなと思っています。また、私の上司は沖縄に住んでいて、そういった遠方にいる方も参加できるようなコミュニティも面白いですよね。

まずは、”自分から”発信してみること。身近な一歩から始めるだけでも、繋がり・広がりを感じられる

読者のみなさまへの一言

他者と共有できるものは積極的に”発信”していくといいと思います。

私自身、元々は発信することが得意な方ではありませんでした。でも、フリーランスを経験した時あたりから徐々に始めてみたところ、人との繋がりが増えましたし、その繋がりからコンテンツにできるデータがいっぱい蓄えられるなと感じました。
コンテンツ自体だけでなく、それを見てくれる方のリアクションや届けるための手法への提案とか、周囲の方々の力をお借りすることで改善できることはたくさんあります。
いきなりどどんと発信するのが怖いという方は、例えば自分の近くのコミュニティとか友人・知人との繋がりの中だけでもいいので、少しずつ発信してみることをお勧めします。
そういった発信を重ねることが、マーケターという職業にとってとても大切です。

発信するメディアとしては、まずはSNSでいいと思います。FacebookやTwitter、LinkedInなど、それぞれのSNSの特徴や性質もありますので、ご自身がいつも使うものや投稿しやすいものを探してみてはいかがでしょうか。最初は『上手に発信できないな…』と反省することもあるかもしれませんが、私もまだまだうまくできませんし(笑)。まずは地道に発信を続けること、そして徐々にでもたくさんの方と繋がっていくことを意識してみて欲しいです。

※ロイヤルティ・マーケティング
他店を利用せず、ほとんどの購入を与えてくれている顧客を識別し、ハードベネフィットやソフトベネフィットを購入金額に応じて提供していくマーケティング手法。ハードベネフィットとは景品や値引き、クーポンなど金銭的還元。ソフトベネフィットはショッピングアドバイスやショーなどイベントご招待など特権の提供。

取材後記

今回は、商品理解を通して回遊と購買を生み出すAIサジェストプラットフォーム「awoo AI」を提供するawoo Japanの坂居さんにインタビューさせて頂きました。

“イベント運営”と”マーケティング”という顧客に沿ったキャリアを積まれてきた坂居さん。一つずつのご経験から、本当に自分が魅力を感じるものを見極めていらっしゃるように感じます。
つい、目の前の業務に囚われてしまいがちな毎日ですが、一つ一つを振り返って、自分が心から取り組めるもの、心から望むものに向き合ってみるのも大切ですよね。坂居さんのキャリアへの想いを伺いながら、ぜひみなさんも一度ご自身の毎日を振り返ってみるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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