マーケターとして活躍されているみなさまに、ご自身の経歴やマーケティングに携わることになったきっかけ、お仕事をするうえで大切にしていることなどを語っていただく『インタビュー企画』。
第15回目は、住業界にイノベーションを起こし、誰もが安心して住まい選びができること「いい家、選ぶ」を実現できる明日をつくる企業 株式会社いえらぶGROUPの松木さんにお話を伺っていきます。
松木 健人さん
株式会社いえらぶGROUP
執行役員 商品開発本部 部長
新卒で株式会社いえらぶGROUPに入社。
クライアントを訪問しWeb集客のコンサルティングやサービスの活用方法の案内を行う。その中で、新規事業にチャレンジする機会があり、手を挙げて社長に直談判し、新規事業の立ち上げに関わる。新卒2年目にしてグループ会社として独立し、代表に就任。
チャレンジできる環境で働きたい!抜群のリーダーシップを持った創業者にあこがれて進んだ道
ーまずはご自身のご経歴を教えてください。
新卒で2013年にいえらぶに入社しました。
就職活動の中で私の周囲は大手に行くのが王道、という雰囲気がありました。でも、時代がどんどん変わっていく中で、もっとチャレンジできるような環境で働きたいと思いベンチャー企業に入社することを決めました。多くのベンチャー企業に伺い、たくさんの社長さんたちと話した中で、創業者の岩名に出会えたのが就職先を決めたきっかけです。パワフルでエネルギッシュ、抜群のリーダーシップを持っている方で、出会った瞬間に「この人と働くんだ」と強く感じたことを覚えています。
入社後、まず最初は、不動産会社を対象としたコンサルティングの業務を担っていました。具体的には、不動産会社のマーケティング支援から、弊社サービスを導入いただいた際の導入サポート、そのサービスをよりご活用いただくためのコンサルティング業務などです。
その後、新たなチャレンジとして、新規事業の立ち上げを管掌しました。社内で新たな事業を立ち上げることになり、その責任者に志願しました。その事業が軌道に乗ったタイミングで、2014年に株式会社いえらぶコミュニケーションズというグループ会社を作り、その代表取締役に就任しました。
そこでは5年ほど、代表としてサービス開発から会社の拡大を推進しました。併せて、いえらぶGROUPのサービスも提言し新規サービスのサポートをしていました。いずれの会社もお客様は不動産会社なのでシナジーを生みやすい環境でした。
その後、今度は本社に戻ってきて、商品の企画開発を担当しています。新しいサービスを作ったり、他の企業とアライアンスを組む仕事です。また、エンジニア・デザイナー・マーケター・広報など、クリエイティブ系の職種の方が所属する部署も管掌しています。これまで関わってきた”営業”とはまた別の職種の方々とお仕事できるのは、新たな刺激になりました。
『不動産×IT』で不動産業界にイノベーションを起こしたい。
ー続いて、御社のサービス/松木さんが関わっているサービスについて教えてください。
いえらぶは、住宅業界にイノベーションを起こし、誰もが安心して住まい選びができること「いい家、選ぶ」を実現できる明日をつくるというミッションのもと、「不動産×IT」を推進する会社です。
具体的には、不動産の賃貸・売買・管理すべてに対応したオールインワン不動産業務支援システム「いえらぶCLOUD」を始め、不動産会社様の成果最大化と業務効率化を実現する、様々なサービス・システムを提供しています。
サービスをご提供する中での課題は、これまではシステムを提供した後の活用度の向上に徹しきれない点がありました。さらに時代の変化により、ユーザーの皆様の住まい探しも変化しています。今担当している新サービス開発の領域から、もっともっと不動産業界の変革を仕掛けていきたいと画策しています。
ー御社のマーケティング活動における特徴はありますか?
一番の特徴は、サービスをご提供するお客様が不動産業界に特化したものである、ということです。その分、業界内の細かな情報や商習慣や業務の流れはしっかりと押さえることができていると感じています。
その中で見つかった課題や問題点、使い方を分析した上で見えてくる課題についてはスピーディーに改修し、常に良いものを追求しています。システムのバージョンアップは、毎月100件以上重ねています。こういった開発スピードの速さもあり、業界ではご評価頂いているのだとありがたく感じています。
また、不動産と一言で言っても本当にビジネスの幅が広いので、例えば、売買、賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介、投資、買取、再販、建築、リフォームなど、周辺業種も含めるとかなり大きなマーケットです。さらに、それぞれにおいて必要な契約や関連法規も異なります。最近だと、2022年5月に宅地建物取引業法が改正され、契約時の押印廃止や売買契約における重要事項説明書・契約書の電子署名での交付が許可されるようになりました。このように法律の改正にもちゃんと対応していく必要があります。実際、百戦錬磨の大手システム会社でさえお手上げになってしまうケースもあり、それだけ不動産業界に特化し細かく丁寧なシステム作りと、日々のバージョンアップが不可欠な領域です。
このシステム作りの土台になっているエンジニア人材については、多くの新卒入社の社員も含まれます。
入社時にエンジニアとしての知見を持っている必要はなく、入社後の志向を見極めて配属しています。その分最初は学ぶことが多く即戦力になるわけではないですが、「会社を大きくしたい」という強い想いを持って入社してくれているメンバーだからこそ、成長は早いですね。
また、2年前からは「エンジニアインターン」という、学生さんにインターンシップで会社の雰囲気を掴んで頂きながらエンジニアとして学んでもらう、というインターンシップ制度も始めました。現在は30名ほどが参加しています。コロナ禍で学校に行けない、でも学びたい、という学生さんを支援しています。初期のインターンシップに参加してくれた学生さんの中で入社される方も出てきたりと、徐々に商品開発事業へプラスに繋げられています。
"お客様のため"を意識したシステムを提供するために、システムを使って社内で情報共有できる環境づくり。
目指すのは『日本を代表する不動産のプラットフォーマー』
ーご自身がマーケティングに関わる上で、大切にしていることは何ですか?
「広くコミュニケーションを取ること」です。
そのうち、まずはお客様とのコミュニケーションです。
例えばエンジニアであれば『良いシステムを作ろう』とするわけですが、それをエンジニア視点だけで判断してはいけません。あくまでもそのシステムを使うお客様にとって良いものでないと意味がないので、エンジニアも営業と一緒にお客様先に出向く機会を定期的に設けています。そこでお客様にお会いし、また本音をお聞きすることで、エンジニア視点ではなく『お客様のためのシステムを作るんだ』という意識作りもしています。
もう一つは、他のチームとのコミュニケーションです。
毎日の業務において、どうしても自分の仕事だけに目が行きがちですよね。でも、仕事は一人で完結するものではありません。特にマーケティング領域においては、営業メンバーをはじめ、会社の全ての部署に関わるといっても過言ではないので、積極的にチーム間で会話をするようにしています。
オフィスの構造として、異なる部署を開放的な同じエリア内に配置し、物理的にも会話が生まれやすい環境を作っています。よくあるパーテーションはありません(笑)。また、営業とマーケティングは定例MTGを設けていて、お互いに会話しやすい関係作りも意識しています。
併せて、お客様のご要望を即時に吸い上げる方法として、社内のポータルサイトを活用しています。サイト内に『要望箱』という細かな機能の改善やお客様の声を気軽に投稿できる場所を設け、営業がお客様のご要望や商談の中で感じた改善点を記載するとその情報が即座に開発チームで共有できるような仕組みになっています。
こういった情報収集に関しては、現場の情報が途中で止まってしまったり情報収集に時間がかかってしまうといったことが課題になりがちですが、それをシステムで解決しています。
ーご自身が目指すマーケティングの姿について教えてください。
マーケティングというよりも会社全体の話になりますが、いえらぶを日本を代表する不動産のプラットフォーマーにしていきたいと考えています。『「住」で困ったらいえらぶ』と思い出して頂けるような世界観を作っていくのが目標です。
特に、今は業界としても過渡期だと感じています。先ほどお話した通り、2022年5月に宅地建物取引業法が改正されました。これにより契約時の押印廃止や売買契約における重要事項説明書・契約書の電子署名での交付が許可されるようになり、オンラインを介した取引が今よりも増えていくことが想定されています。
これこそ、「不動産×IT」を軸に事業展開してきたいえらぶの得意領域です。
もっとたくさんの方に、自由に不動産を選択し、そして快適に過ごして頂けるように日々サービスを磨いていきたいと思います。
サウナでのコミュニケーションはオススメ!
なにかを叶えるために大切なのは"周囲を巻き込むこと"。
ー読者のみなさまへの一言
マーケティングにおけるゴールは、「商品が売れる状態にする」ということだと思っています。その「売れる状態」にするためのあらゆることをやり尽くすのは非常に重要です。
新しい商品ができた時、それが売れるかどうかなんて正直なところわかりません。その状態から、プロダクトがマーケットに対してフィットしているのか、していないとしたらどこが課題なのか、それを細かく確認して答え合わせをするということを愚直に重ねていく必要があります。
その上で大切なのは、やはり『他の部署や周囲の方を巻き込んで、足並みを揃えて進んでいけるか』ということ。
自分はマーケターだからマーケティングしかやらないのではなく、営業の方とかデザイナーの方とか、いろんな人と上手くコラボレーションしないとマーケティングの成果は最大化できません。
これは、僕自身が2014年に新規事業を推進する業務に就いた時に、痛感したことでもあります。その頃は「自分がやればなんとかなる」と思ってただひたすらに突き進んでいたのですが、自分だけだと何もできなかった。どれだけやっても、ある一定のところで壁にぶつかってしまっていました。
なんとかしたい、という想いで何度も振り返りをした結果、自分だけではダメなんだということに気づくことができました。
このような経験があったから、業務以外のことでもできるだけいろんな方とコミュニケーションを取って、話しやすい・相談しやすい関係作りを意識しています。
僕はサウナが好きでもう10年以上通っていて、時にはちょっと疲れていたり、悩みすぎて悶々としているメンバーを誘ってサウナ談義をします(笑)。サウナ自体リフレッシュにとても効果的ですし、環境を変えて話すことで意外にも思考が整理できたりします。
サウナ談義、オススメです(笑)。
ー取材後記
今回は、「いい家、選ぶ」を実現できる明日をつくる企業、いえらぶGROUPの松木さんにインタビューさせて頂きました。
様々な”決まり”の中で固執しがちな不動産業界に大きなイノベーションを起こしている同社。そのイノベーション牽引のお一人である松木さんは、まさにタイトル通りの風雲児でいらっしゃいます。インタビューをお伺いしながらも、溢れ出る闘志とエネルギーを感じました。
新しい世界を創るために、あらゆるコミュニケーションを大切にされている松木さん。一つ一つのイノベーションも、そういった日々で構築された強固な組織だからこそ起こせるものなのかもしれませんね。
ぜひ皆さまの毎日でも、改めてコミュニケーションを見直してみてはいかがでしょうか?