マーケターに聞いてみよう!
Vol.7_ノバセル株式会社 中野 竜太郎さん

マーケターとして活躍されているみなさまに、ご自身の経歴やマーケティングに携わることになったきっかけ、お仕事をするうえで大切にしていることなどを語っていただく『インタビュー企画』。

第7回目は、テレビCMの効果的な利用を提唱されている、ノバセル株式会社 中野さんにお話しを伺っていきます。


中野 竜太郎さん
ノバセル株式会社
マーケティング部 部長

2017年、楽天株式会社に入社後ECコンサルタントとして200社以上を担当。その後、個人事業主としてメディア運営、占い師、広告運用・マーケティング支援を行う。2019年よりSaaSのマーケティング部門立ち上げを経て、2021年1月よりラクスルに参画。ノバセル事業のマーケティングを担当している。


様々な経験から自分の価値を見直し、今のキャリアにつながった

ーまずはご自身のご経歴を教えてください。
新卒で楽天に入社し、ECコンサルタント職に就いていました。ECサイトに出店している事業主の売上を上げていくために、広告を用いてご支援をする、というのが具体的な業務です。多い時には200以上の出店者さまを担当させて頂いていることもありました。それだけ多くの店舗さんが楽天を使ってくださっていたんですよね。そして、この業務を通してECの仕組みや広告にも詳しくなりました。

ECや広告に詳しくなったことをきっかけに、支援ではなく自身でも店舗運営をやってみたいと考えるようになり、そこから個人事業主のキャリアに繋がりました。

まずは自分で手を動かしてみようと思い、個人事業主としてメディアの立ち上げ・運営を行いました。最終的には、多ジャンル・複数のウェブサイトを運営していました。

メディア運営ではブログを展開して集客をする、いわゆる”コンテンツマーケティング”の手法も取り入れていました。複数人のライターさんをチーム化して、ライティングはすべてお任せし、自分は運営業務に集中できる体制まで持っていくこともできました。

同じ時期に、「プロの占い師」としても活動していました。もともと、占いはできたのですが、それを仕事にしてみたいと思ったんです。実は、占いというサービスで本格的に集客をしているケースは少ないんですよ。店舗に所属する方はいるのですが、有名になるのはテレビで取り上げられた方くらい。『占いに集客要素を取り入れたらどうなるのだろう』『プロモーションを通じて何を変えられるのだろう』という期待もありました。

占いをテーマにメディアを作り、SNSでコミュニティを作って拡散させていきました。ちょうど、その時期はオンラインサロンやコミュニティ形式のものが流行した時期で、より感度の高い方が反応しやすかったためヒットした、という背景もあるかもしれません。

ですが一方で、自分の市場価値を考えた時に、焦りも感じていました。楽天でECと広告を学び、個人事業主としてサービス運営はできていましたが、「世界が狭い」「井の中の蛙」なのではないか、という不安がつきまとっていました。

そこで、改めて企業に所属してみようと考え、スタートアップの「ニンジャサイン(現在はfreeeグループ)」という会社に転職しました。この会社でマーケティング部門の立ち上げを担当して、体系的にBtoBのマーケティング活動を実行する経験をしました。

無事にマーケティングの組織も立ち上がり、地方でテレビCM放映なども実施しました。そこで、まさに私たちノバセルが制作したテレビCMクリエイティブ(※1)のように「効果…うーん?」という状態になってしまっていたんです。「ちゃんと効果を判断しながら、ロジカルにCMを回す」ことは、言うのは簡単ですがなかなかうまくできないものです。それで、その課題を解決できるノバセルのビジネスモデルに、非常に興味があったんですよね。

そんなときに、ウォンテッドリー経由でノバセルからカジュアル面談の打診がありまして、「マーケティングの民主化」というミッションや「運用型テレビCM」の方向性に共感し、2021年にノバセルにジョインして、今に至ります。

ラクスルのマーケティングノウハウを詰め込んだ、運用型テレビCMサービス「ノバセル」

ー続いて、御社のサービスについて教えてください。
ノバセルって、広告代理店じゃないの?という感覚をお持ちの方もいるかもしれないですが、改めて定義すると「事業会社」ではないかと思います。
”マーケティングをテクノロジーを通じて解決していくサービス”なんです。

「ノバセル」は、独自の広告手法とクラウド型テレビCM運用ツールの活用によって「運用型テレビCM」サービスを提供しています。事業の軸としては、ひとつが企画・制作・放映・分析まで一気通貫して行う広告代理事業、もう一つが効果計測や分析ツールを提供するSaaS事業になります。

SaaSプロダクトのひとつとして、新たに提供を開始した競合分析ツールが「ノバセルトレンド」です。これは競合他社のCMを分析し、その効果(※CMによる「瞬間指名検索数」)がわかる、というサービスなのですが、業界全体のCM効果・効率データを見て、トレンドや勝ちパターンを見い出すことができます。これまで、時間や費用をかけてデータを収集しても完全には把握できなかった「競合がどのようなCMを出稿していて、その効果はどうなのか」を見ることができるツールです。

また、もう一つは「ノビシロ」という最短20分で顧客アンケートが完了するという超高速定量調査サービスです。
こちらは製品のネーミングやパッケージの選定、会議中に出た顧客動向の予測など、すぐに顧客の意見を知りたい時に、簡単に・早く・安く集計ができるアンケート調査サービスです。こちらも調査サービスの高くて時間がかかる、という印象を破壊していく、画期的なサービスになっています。

ー御社のマーケティング活動における特徴はありますか?
全ての広告効果をしっかり可視化していこう、という意識がある点です。まだまだ試行錯誤をしながらではあるのですが、効果を見ながら改善を繰り返し、新規施策にもどんどんチャレンジしていこう、という面は”ノバセルらしさ”じゃないかと思います。

私たちが提供しているサービスにおいても「効果を見ながら改善を繰り返し、最善を狙う」という思想があり、それは私たち自身も日々のマーケティング活動でも意識しているものです。現在、マーケティング部門は僕も含めて5名体制で、各施策は週次で振り返りをしています。

効果を見ながら改善していく施策の一つとして、直近で強化しているのがセミナー施策です。ウェビナーの開催は、かなり回数を増やしてきたのですがイベントマーケティングのPDCAはこれまで明確に足を踏み入れていなかったので、しっかりやり切っていこうと取り組んでいます。
また、新規施策を実施する際の判断基準については、投資効果と工数を見るようにしています。

もう一つ特徴的なのは、壁打ちミーティングをやっているうちにご提案に至ることが多いことでしょうか。

ご要望いただいてマーケティング施策やweb広告、LPの仕様について壁打ちミーティングをさせて頂くことがあるのですが、過去の経験からアドバイスさせて頂くと、「じゃあ提案してよ」という流れになって、その後ご発注頂くことがあります。もちろん、壁打ちミーティングによって先方のお悩みがわかっているからこそ提案しやすい、という点もあるのですが(笑)。明確にコンペという形ではなく、お悩みに寄り添っているうちに取引につながる、というところは”ノバセルならでは”なのかもしれません。

まだまだ、ノバセルは「テレビCM」の印象が強いと思うのですが、先ほどご紹介した調査や戦略面、その他ウェブマーケティング領域など、「実はこんなこともできます」というサービスもたくさんあるんですよ。

そして、ただ実行するだけではなくて、それが再現性のあるものなのか?「誰の」「どんな課題」を解決するのか?といった部分を徹底的に突き詰めて考える文化はあるかなと思います。

経験や感覚に頼らず、顧客に寄り添う。『麻痺しない』ことを大切にしたい。


ーご自身がマーケティングに関わる上で、大切にしていることは何ですか?

一番大切にしていることは「麻痺しないこと」です。

自社サイトのページや広告・バナーを作っていると、どうしても思考が画一化してしまいます。以前、効果が出たからこういうバナーにしよう、こんな感じなら効果が出るよねという自身の経験から来る思い込みに偏ってしまう部分ですね。
実際にバナーなどのクリエイティブの結果を見てみると、自分の感覚と実際の効果がズレていることが結構あるんです。

なぜこの視点を持つことができたのかというと、お客さまの課題と向き合っている時には「このLP・バナーは違和感がある」とすぐに気がつくのに、自社の場合だと、徹底できていないのでは、と感じたんですね。どうしても自社のことになると、感覚に頼ってしまう。自分たちが見えているものだけを、いいように見てしまう。難しいことですが、客観的な目線をもって一度フラットに捉えてみる。例えば、他社のマーケターと話すとか、お客さまとの対面の場に出るなど、別の角度から物事を見る機会は大切にしています。

ーご自身が目指すマーケティングの姿について教えてください。

自身のなりたい姿としては「自分の家族に誇れるような仕事をしたい」と考えています。

そのために、尊敬できる経営者の方やマーケティングを極めてきた方など、多くの人と接する機会を大切にしています。ノバセルにいるとテレビCMという大きな施策が絡むからか、そういったいわゆる第一人者の方にお会いできる機会が多く、貴重な経験が積めています。

そういった方々に、自分たちの世代が辿り着くにはどうしたらいいんだろう、辿り着いたらどうなるんだろうとよく考えています。尊敬する方々に追いつけるように、むしろ追い越せるくらいに、道を切り開いていきたいと思っています。

ー読者のみなさまへの一言

全てにおいて「まずやってみる」ということが大事だと伝えたいですね。

マーケティング部門にいると、売上や予算など、大きな数字が絡むことが多いので麻痺してしまうと思うのですが、セミナーのスケジュールを決めたり、バナーの文言を決めたりなど細かい作業も非常に多いですよね。
それを生かして、毎日の細かい作業の中で小さな成功体験が何度もできる環境でもあるんじゃないかなと思います。

何か小さなゴールを成功として積み重ねていくと、それは自信になっていくと思います。なので、まず『どんなこともやってみる・チャレンジしてみる』ということは大切にしてほしいです。

あと、どんどん周囲に聞いてしまうというのもオススメです。
マーケティングを担当している方って、実は質問すると素直に教えてくださる方が多いんですよね。壁打ちさせてください!とか、詳しく教えてほしい!など、SNSのDMで詳しそうな方に聞いてみてもいいと思います。
臆さずに、どんどんチャレンジしていきましょう!

※1:ノバセルTVCM(https://youtu.be/nsjMN4afXoc

ー取材後記

今回は、印象的なテレビCMでもおなじみのラクスルグループ「ノバセル」の中野さんにインタビューさせて頂きました。

多様なご経歴から繰り出される、数々の施策。これは次々にチャレンジを続ける前向きな姿勢と、包み込むような柔らかな雰囲気、そして周囲の巻き込み力の為せる技ではないでしょうか。

今後の中野さんが作る、新たな価値・新たな世界にも大注目ですね。


ノバセル株式会社
https://novasell.com/
「ノバセル」は、独自の広告手法とクラウド型テレビCM運用ツールの活用により「運用型テレビCM」を提供しています。企画・制作・放映・分析まで一気通貫して行い、効果分析ツール「ノバセルアナリティクス」を活用することで、従来、難しいとされていたテレビCMの広告効果測定可能にし、広告投資の最適化を通して企業の成長を実現しています。さらに、企業のマーケティング活動に必要とされるSaaSプロダクトを自社開発し、複数の製品をご提供しています。今後も、テレビCM企画・制作・放映・分析およびマーケティングツールの提供により企業の事業成長を最大限に伸ばすサポートを行ってまいります。

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