マーケターに聞いてみよう!
Vol.19_株式会社リチカ 中西 佑樹さん

マーケターとして活躍されているみなさまに、ご自身の経歴やマーケティングに携わることになったきっかけ、お仕事をするうえで大切にしていることなどを語っていただく『インタビュー企画』。

第19回目は、「Swich to the Rich. -クリエイティブで、世界を豊かに。」というミッションのもと、運用型クリエイティブクラウド「リチカ クラウドスタジオ」の開発、各分野の専門家による組織「リチカ クリエイティブファーム」などを通じて、企業のマーケティング課題を解決することを目指している企業、株式会社リチカの取締役COO 中西さんにお話を伺っていきます。


中西 佑樹
株式会社リチカ
取締役COO


留学で気付いた起業のきっかけ。そこから繋がる今歩く道。

ーまずはご自身のご経歴を教えてください。

20代は不動産業界の営業職に従事していました。ボトムアップ社風の会社で、色々な仕事を任せていただき、社会人最初のキャリアとして非常に恵まれた環境で仕事ができたと思います。
その後、28歳で、フィリピンのセブ島に日本人向けの英語学校を起業しました。起業したきっかけは自身の留学を通して得た経験でした。実は当時私自身、海外の大学院に行きたかったので、徹底的に英語を学びたいという想いで留学しました。しかし、あくまで私の主観ですが、私のニーズにあった学校を見つけることができませんでした。であれば、自分でニーズを満たす学校を作っちゃえ!と思い、起業しました。当時は勢いもあったと思います。

事業を行っていく上で、セブ島の拠点だけではなく、留学前の準備や留学後にサポートする拠点も必要だと思い、日本拠点も立ち上げたので、セブと日本を行き来する生活でした。その際に、また日本を拠点に色々チャレンジしてみたいと思うようになり、学校の経営がある程度安定してきたタイミングで日本に帰国しました。

帰国後、日本で会社を立ち上げて色々な会社の事業をサポートしていました。
例えば、マーケティング体制の構築・施策立案、さらにはセールスチームの組織作りや、ECサイトの仕組み作りなど、様々な領域でお仕事をさせていただきました。そして、そのお手伝いをさせていただいていた中の1社にリチカがありまして。色々なきっかけがあり、リチカに取締役という立場で参画することになりました。

成長中の企業だからこそ、"カルチャー"のすり合わせが大切!

ー続いて、御社のサービス/中西さんが関わっているサービスについて教えてください。

取締役COOと事業責任者の大きく分けて2つの役割がありますが、それぞれの役割で視点は違えど、どちらの役割も事業のグロースにコミットする仕事でして、弊社のRICHKA CLOUD STUDIOなどのサービス全般に関わっています。

事業責任者としての役割についてお話させていただくと、現在リチカは従業員数も100名前後に増え、お陰様で事業も成長しています。組織が拡大フェーズに入ってきているので、最近は、「今後どのように組織を強化していくか?」という話題をよく経営会議でも議論していますし、私自身の関心ごとになっています。

特に弊社は、ビジネス・エンジニア・クリエイティブなどの専門性の違いや国籍の違いなど多様性のあるメンバーで構成されています。その為、この多様性をどのように共存させていくか?はリチカをもっと強くする上では、重要イシューです。

さまざまな打ち手はありますが、組織が大きくなっても昔から変わらず大事だと感じているのが、リチカの持つカルチャーです。我々のカルチャーは複数要素から構成されていますが、例えば、日々メンバーが行動する際の道標として機能しているか?に使うValues(判断軸)がその一例です。こうした言語化されたカルチャーに共感してくれるメンバーなら多様性をどんどん取り入れていくべきだと考えています。

一方、このカルチャーにフィットしない人にご入社いただくと、お互いが不幸になるだけですので、面接でもこのカルチャーフィットするかどうかを一番確認しています。当然、求職者様にも弊社のカルチャーに共感いただけるかどうか?を見ていただき、弊社を選んでいただくようにしています。

加えて、「言葉の定義」を明確にすることも重要だと思っています。まだまだ全然できていないのですが、抽象度の高い言葉、解釈の予知がある言葉を使うとどうしても個々人の認識のズレが生じ、ミスコミュニケーションを引き起こしてしまいます。多様性のある組織だからこそ「言葉の定義」をもっと大事にしたいです。

広告のイメージが良くないからこそ、まずは「好きになってもらう」こと。

御社のマーケティング活動における特徴はありますか?

リチカという会社、サービスを「好きにもらえるか?」という基準でマーケティング活動を実施しています。

先日、弊社で広告に関する意識調査をしたところ、広告に良いイメージを持っていない方が殆どでした。私たちリチカはこうした広告に対する認識をクリエイティブの力で変えたいと思っています。
例えば、リチカのインサイドセールスチームでは「お客様に好きになってもらうこと」をミッションとして掲げています。打ち合わせのお時間をいただくことが目的ではなく、お客様の困りごとを聞いて、その解決のためのサポートをすることを行動指針にしています。お客様の困りごとを解決するのが他社のサービスであればそちらをご紹介することもありますし、無理にリチカのサービスを押し売りするようなことはしません。
以前開催した展示会でも、サービスを紹介することをメインとせずに「マーケティング領域のお困りごと相談会」という立て付けで出展しておりました。

その結果、リチカという会社を好きになってもらい、いつか弊社のサービスが必要になった時に必ずリチカを思い出して頂けます。
こうした中長期的な取り組みは、遠回りのように見えるかもしれませんが、実は一番近道だと思います。良好で継続的なお客様との関係性こそが、日々のビジネスにも繋がっているなと。

また、「好きになってもらえるかどうか」という言葉をあえて選択しています。同じような意味で「顧客の体験構築」・「UX改善」など色々表現することもできるのですが、個人的に、どこか表層的な印象を感じるので、あえて人間の感情で表現できる「好きになってもらう」という言葉を選択しています。

ご自身がマーケティングに関わる上で、大切にしていることは何ですか?

先ほどもお答えした、マーケティングにおいて重要なことは「マーケティングを通じて、ユーザーにサービスを好きになってもらう」ことだと考えています。
その上で、必要な要素を一つあげるなら「ユーザーに合わせて、クリエイティブを最適化して届けること」です。

デジタル広告を例にあげると、配信先毎に、最適なクリエイティブは異なります。よく見かけるのが、TV CM用に作った素材をそのままSNSで広告配信する。残念ながら、こうした配信面に最適化されていないクリエイティブは、ユーザーに正しく価値を届けることができません。リチカで提供している価値もまさにこういったユーザーと配信面に最適化されたクリエイティブを制作、運用できるサービスとなっており、こういった世の中のギャップを埋めていきたいと思っています。

自ら「経験したこと」を繋いでいけるように。後世に影響を与えられる人になりたい。

ご自身が目指すマーケティングの姿について教えてください。

もっと経験を積んだ時に、その「経験したこと」を次の世代に伝承していけたらいいなと感じています。

人が死ぬ時に残るものは結局”影響”しかないと思うので、後世に影響を与えられるような人間になりたいですね。
影響を残していくには「誰が言うのか」という点がとても大事だと思っています。信頼できない人の言葉は絶対に残らないので、みんなから信頼・信用される人になりたいです。

個人的には、僕自身が経営者になりたいとかトップになりたいと言う志向があまりないので、それよりもそのタイミングで求められた役割にどんどん変化しながら貢献できたらいいなと。
自分のために何かするというよりは、誰かが良くなるようなことに力を注いでいけたらと思います。

あと最近は、世の中の原理原則を突き詰めていくことに興味があります。
今起きている全ての現象って、ここに至るまでに何かしら原因があったからであって、こうした因果の流れを読み解いていくのが楽しいなと感じています。
もともと好きだと言うこともありますが、様々な構造理解をすることに興味があり、物理学、歴史、哲学など色々な教養を学ぶことも続けています。昔から継承されてきた考え方やすでに研究されてきたことには、今の世の中で生きる上で大きなヒントがたくさん詰まっているので、今後も学びを深めていきたいです。

目の前のことに一生懸命に。そこからきっと、世界が開かれていく

読者のみなさまへの一言

「目の前のことを一生懸命やる」ことを大事にしています。

これまでのキャリアも、常に一生懸命やったことで開けてきたなと感じます。

やりたいことがない・何をしていいかわからない、と悩むよりは、まずは目の前にあるものに一生懸命取り組んでみる。そうするとできることが少しずつ増えて、さらに幅広いことやたくさんのことができるようになってきます。そうやってオプションを増やしていくことで、徐々にやりたいことも見えてくると思っています。


取材後記

今回は運用型クリエイティブクラウド「リチカ クラウドスタジオ」の開発、動画を軸とした情報のDX支援をされている企業、株式会社リチカの取締役COO 中西さんにインタビューさせて頂きました。

海外での事業展開から個人事業主としての取り扱い業務の幅広さ、またリチカでのご活躍など、無双の如く立ち回られている中西さん。どうやったらこれほどまでの変革と柔軟性を身に付けられるのか、掘り下げることを楽しみに取材にお伺いしました。
その思考の根幹が「”目の前のこと”に集中する」というとてもシンプルなものであることには、とても驚きました。研ぎ澄まされたポリシーであるからこそシンプルになるのでしょう。

毎日のシンプルな思考、徹底した行動の積み重ねこそが、大きな変革に繋がるのかもしれません。
改めて、一つひとつの行動に真摯に向き合うことを教えて頂いたような気がします。

関連記事

TOP